夢違観音法隆寺解説
夢違観音(ゆめちがいかんの)は、奈良県斑鳩町にある法隆寺(ほうりゅうじ)に伝わる仏像の一つです。法隆寺は聖徳太子ゆかりの寺院として知られ、世界最古の木造建築群として1993年にユネスコの世界遺産に登録されました。夢違観音は、その名の通り「夢を変える」という意味を持ち、人々の悪夢を良い夢に変えると信じられています。
夢違観音は、飛鳥時代(7世紀)に製作されたとされる銅造の観音菩薩立像です。高さは約87センチメートルで、頭上に寶冠を戴き、右手は施無畏印(せむいいん)、左手は與願印(よがんいん)を結んでいます。この印相は、衆生の恐怖を取り除き、願いを葉えることを象徴しています。
夢違観音の名稱は、『法隆寺縁起』に記された伝承に由來します。それによると、ある僧が悪夢に悩まされていたところ、この観音像の前で祈ると、悪夢が良い夢に変わったとされています。この故事から、夢違観音は「夢を変える観音」として信仰されるようになりました。
法隆寺の夢違観音は、その優美な姿と歴史的な価値から、多くの參拝者や観光客を引きつけています。また、仏教美術の傑作としても高く評価されており、日本の文化遺産として重要な位置を占めています。